神経系の発達(お子様のために)小児神経学クリニックの案内

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小児神経学クリニックの診察の方法

 私どもに来院される方には、急性の病気はありませんので、診察は以下の方法で行います。

 まず問題とされている事項(主訴)をお聞きします。
 次いでその病因に素因、体質が関与しているかどうかをうかがいます。それには家族歴をできれば祖父母世代までを、おじ、おば、いとこを含め詳しくうかがいます。
 次いで胎生期に異常発現の要因があるか否かを検討するために、 母親の妊娠歴、早産、流産、他に異常産の有無を聞きます。
 そこから患者さん本人のことに関しての聴取が始まります。妊娠中の経過、出産時の状態、新生児期の様子、身長、体重、頭囲、言葉の発達など、乳児期、幼児期の発達の経過を母子手帳を参考にお聞きします。
 次いで、これまでにかかった病気、外傷、アレルギー体質の有無、これまで行った予防接種とその際の副反応の有無をたずねます。
 そこで、生後時から来院時の年齢までの睡眠・覚醒リズムの発達を、育てられた環境、日の当たりは良かったか、親の生活リズム、遅く帰宅するのにあわせた生活をしていたか、親以外の大人がいたか、子供との接触があったか等、生活環境と合わせてお聞きします。
 さらに、はいはいをいつ始めたか、そのパターン、姿勢はどうであったか、二足歩行はいつ始めたか、最初つまさき立ちをしたか、その後、三輪車のペダルはいつ踏めたか、階段の交互降りはいつできたかなどを聞きます。
 また、幼児期のお子さんの場合には利き手はいつ決まったか、子音の発音はしっかりしているか、メロディー(音程)はしっかりしているか、さらに5歳過ぎのお子さんの場合には三角がいつ書けたかを質問します。
 ここで、乳幼児期の精神・行動の発達の良否をみるため乳幼児異常行動研究会の作成したチャートにより乳幼児期の異常行動の有無をチェックし、さらに、6歳以下のお子さんの場合は園城寺式の発達評価表に従い、運動、精神、言語の発達段階をチェックします。
 次いで、問題となる症状がいつ、どこで、どのようにして発症、何がきっかけとなったか、それがどのような順序で進み現在に至ったかを詳しく聞きます。

 ここまでは主に患者さんのご家族からのお話を聞くことですが、ここから診察がはじまります。
 まず、お子さんの姿勢(静止時、歩行時、首、手、足、指先の動き、姿勢)、随意的な動きの良否、不随意的な動きの有無等をチェックします。
 次いで斜視の有無、注視が可能か、目がきちんとものを追うか、それが可能な場合、動きが滑らかか、ガクガク(階段状)しているか、物を鼻の正中部に近づけると目を真ん中によせることができるか、眼振があるか、これに左右差はあるか、瞳孔の形、左右差、真中をみる時(近いものをみるとき)瞳孔が小さくなるか、顔面の様子、表情、眼裂、口唇等の左右差、他者を真似、また他者の指示により目、口を閉じる、また舌を出すことができるか(2歳以上)、舌を左右に動かすことができるか。軟口蓋の動き、きちんと動くか、左右差があるかなどを診ます。
 筋緊張のチェック、胸鎖乳突筋と手足の筋を検索、それが異常(筋緊張が強い)の場合、とくに異常の強い側が胸鎖乳突筋と四肢筋で同側であるか、反対側であるかもしらべます。
 2歳以下の乳幼児では、Milani-Comparetti とGidoniの表に従い原始反射と姿勢反射を検査、2歳以上の例には上肢拳上(上方、前方)が可能か、その際肘がのびるか、3歳を過ぎた小児では、閉眼が可能か、手掌を上に向けた姿勢で前方拳上が閉眼でできるか、人差し指を鼻の先端につけることができるか、4歳以上ではそれを閉眼でできるかなどを診ます。また、3歳以上では、上肢の回内回外運動(キラキラ星)ができるか、4歳以上では、これを肘を躯幹につけて行うことがでるか、一方を動かした時、他方に同じ動きがみられるか、あるいは全く動かないかをチェックします。
 3歳以上ではあお向けに寝かせ一方の足のかかとで他方の足の膝をトントンとたたき、次いで、かかとをその足のすねの上を足先まですべらせることができるかをみます。この時検者が患者さんの右足を持ってやり方を示したのち、子供にその動きをやらせた際、検者の持った右足から始めるか、反対左足から始めるかをチェックします。
 次いでハンマー(打腱器)をつかい全年齢で反射を検査、正常の反射が出るか、欠けていないか、さらに病的反射が出るか否かをチェックします。
 筋力は幼児期また3歳までは自然の動きの中から判断しますが、その際、体に近い筋力が弱いか、手足の先の方の筋力が弱いのかを判定します、3歳以後は力比べで判定します。
 この際に上下肢の長さ太さに左右差があるか、全身が細いか一部が細いか(左右差のあるなしも含めて)検査します。さらに筋にピクピクした動きがあるか、また力はないが筋が太ってみえるか、またあお向けで寝た位置からの立ち上がりが可能か、その時のパターンは、手をつかないとできないかなどをチェックします。
 また、4歳以上の子供では感覚の異常があるかどうかを、また皮膚温に異常また左右差があるか、あればどの部分が左右差があるか、さらに発汗に左右差また上下半身差があるか、皮膚に色素斑また色素の脱失があるか、あればその部位はどこか、左右差があるかを検査します。
 次いで這い這いを、月齢により、腹這い、ヒザ立ち這い、よつ這いの良悪をチェック、歩行では足底がきちんと床につき、前へ歩くときヒザがまがり、上肢がふれる歩行ができるかどうか(とくに2歳すぎ)を詳細に検討します。
 乳幼児では最後になりますが、眼底検査を行います。これは異常近視があるかをみるのみではなく、神経の組織また髄梢に異常があるか、神経細胞の異常があるかまた先天的代謝異常を示す網膜があるかなどを検索できます。
 5歳以上のお子さんには、この他に成人の患者さんに行う全ての臨床検査を行います。
これらの問診、臨床経過、臨床検査を行うことにより、脳から脊髄、末梢神経、筋肉のどこに異常があるかが明らかにされ、さらに大脳の左右の機能の役割分担ができているか、大脳の部位別の役割分担はできているかが判断できます。また、発病の経過、睡眠覚醒リズム、ロコモーションの発達を対比することにより、最初の病変がいつどこにおこったのか、どのような仕組また、過程をへて現在症状をだしているのか判断することができます。
 次いで主病変を発現させた病変を確認、また明確にし、さらにその病因を明らかにするため、以下に示す検査を行い解明、診断を確立し、治療法をたてます。

  • 脳波検査
  • セロトニン神経系の異常をみるためには、この時脳波検査と同時に頤筋の活動を同時に記録します。
  • 筋緊張の異常を明確にするため表面筋電図検査
  • 末梢神経、とくに髄鞘の異常が疑われたときには神経伝導連度を測定します。
  • 持続性の筋力障害がみとめられた場合(重症筋無力症)には誘発筋電図を行います。
  • 大脳基底核から上位の神経系(大脳)に向う神経系の異常が示唆される場合は誘発電位を検査します。
  • 脳また骨髄の形の変化、欠除、出血、腫瘍、外傷、形成異常等の病変が示唆される場合はCTまたMRIを行います。
  • 代謝異常また、変性疾患(神経系が徐々に破壊される疾患)の可能性がある場合は血液また脊髄液の検査を行います。

 ほぼ断診が確定、その原因が遺伝性の素因の事によることが強く疑われる場合には遺伝子検査を行うこともあります。
 また手足、手掌紋、顔、耳等の形に奇形的要素がある場合には染色体検査を行います。

 以上記した様に小児神経疾患の診断には、問診、診察、検査と多くの検査が必要であり、初診時には1時間、再診時にも経過による変化、治療効果の判定も含めると少なくとも30分は必要となります。

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