小児期発達障害、神経疾患の専門病院 瀬川記念小児神経学クリニック

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チック症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群

チック症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群

チック症は皆さんもよくご存知と思います。一般的に「癖」と言われていますが、神経学的には、不随意運動の一種で、環境や精神活動の影響を受けますが、運動の疾患として治療を行っています。 幼児期から発症することが多く、男子に多い傾向にあり、症状は成長につれて消失するか、軽快します。

運動チックと、発声や言語の特徴による音声チックに分けられます。 運動チックは、顔面や首、肩などの筋が不随意的に収縮を繰り返し、まばたき、顔しかめ、首振り、うなずき、口ゆがめ等が多く、音声チックは、ンンン、という声や鼻すする、咳払い等が多く見られます。

チックは、顔や手足が動く運動チックと、発声や言語の特徴による音声チックに分けられます。運動チックは、顔面や首、肩などの筋が不随意的に収縮を繰り返し、まばたき、顔しかめ、首振り、うなずき、口ゆがめ等、音声チックは、ンンン、という声や鼻すする、咳払い等が多く見られます。 さらにチックは、単純なチックと複雑なチックに分けることが出来ます。単純チックは上記に述べた単純な動きを示しますが、複雑運動チックは、体の後方にそらす、拍手、ジャンプ、四肢の屈伸、等、より複雑な日常動作を繰り返すような症状、複雑音声チックは、無意味な言語、反復言語、汚言(悪い言葉を繰り返す)、反響言語(おうむ返し)などがあります。

こうした症状が1年以内に消失するものを一過性チック、運動性か音声チックのいずれかが1年以上続くものを慢性チック、両者が1年以上続くものをトゥレット症候群と言います。トゥレット症候群は、最初にチックを記載したフランス人医師トゥレットGeorges Gilles de la Tourette(1857―1904)の名を冠しています。

瀬川先生は、チックを不随意運動ととらえ、1970年代から、終夜ポリグラフ脳波を施行し、睡眠中の体動が異常に多くみられることからドパミン神経系の異常があると考えました。しかしその体動の出現の仕方が、正常よりも低く、瀬川病(ドパミン神経が低下していることがわかっている)より多いことから、チックでは、ドパミン神経は一見多いように見えるが、脳の中では活性が低下しており、その為に受容体の過感受性が起り(受容体が過敏な状態)チック症状が起こっている、と考えました。また、そのドパミン神経が足りない状態は、ドパミン神経の発達過程に起こることから、脳が発達するに従い徐々に改善し自然に緩解すると考察しました。

しかし、複雑チックの場合は、ドパミン神経だけではなく、「強迫性障害」を合併することがあることから、セロトニン神経の低下が関連し、経過が長くなると考えました。それは、神経生理学的検査により、トゥレット症候群の睡眠ポリグラフでは、セロトニン神経の低下を示すノンレム睡眠中のオトガイ筋筋電図の低下がみられ、トゥレット症候群の治療には、ドパミン神経の薬だけでなく、セロトニン再取り込み阻害薬の有効性を報告しています。

また、衝動性眼球運動検査では異常所見がみられ、大脳基底核のドパミン神経が低下している所見や、さらに「見ていけない」を見てしまう(saccade to cue)が多くなり抑制が効かない、というデータも出てきました。 瀬川先生は、長年、チックやトゥレット症候群に、少量L-ドパ療法にてドパミンを極少量投与することにより、受容体過感受性を改善させる治療を行っていました。決して、ドパミンを遮断する薬は使わず(ドパミンをさらに低くするのは発達に影響はでる)、ドパミン遮断薬を使い続けた症例の知能が下がるなど、ドパミン遮断薬の副作用を訴え続けていらっしゃいました。

当クリニックでも、少量L-ドパ療法を継続しています。しかし、重症例には、少量L-ドパ療法では改善しない例もあり、最近では、アリプラゾール(ドパミンstabilizer)を使うことも多いです。アリピプラゾールは、最近、セロトニンも同時に安定化することも報告されており、良い治療の一つと考えています。また少量L-ドパ療法は保険外適応でもあり、使用にあたり十分なご説明をさせていただいております。(当院、倫理審査委員会にて承認されています)

私達は、チックは不随意運動の一つであり、強迫性障害の合併により複雑チックになると考えており、そのための神経学的診察や検査、治療を行っています。 また、チックには、注意欠陥多動性障害、学習障害、自閉スペクトラム症等、高次脳機能障害も合併します。合併症に対する早期発見、早期治療も、発達検査等を併用しながら、早期に治療をしていきます。 早い治療で、早く改善することが出来ますのでできるだけ早い受診をおすすめいたします。

初発症状
・運動チック(顔を動かす、頚、手を動かす、ジャンプ、複雑な動きを繰り返す) ・音声チック症状(声を出す、鼻鳴らす、言葉を繰り返す、汚言等) ・同じ動作を繰り返す、「しないと気が済まない」等、強迫性障害
当院で行う検査
  • 脳波+睡眠ポリグラフ
  • 衝動性眼球運動検査(ドパミン神経の低下を評価)
  • Gating SEP
  • 表面筋電図
  • 発達検査(必要に応じて)
当院で行う治療
  • 生活指導(規則正しい睡眠リズム、早寝早起き)
  • 少量L-ドパ療法
  • アリピプラゾール
  • セロトニン再取り込み阻害薬 など