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レット症候群(Rett症候群)
レット症候群(Rett症候群)
日本で初めてレット症候群を報告したのは瀬川小児神経学クリニックでした。レット症候群は1966年、オーストリアの小児神経学者 A.Rett先生により記載された、女児に発症する、中枢神経の発達障害で、特徴的な両手を重ねる常同運動を呈する疾患です。1998年原因遺伝子がXq28の存在するメチル化に関連するメチルCPG結合蛋白2(MeCP2)にあることが解明され、今は血液での遺伝子検査によって診断を確定されることが多いと思います。
私が瀬川小児神経学クリニックに研修に来た2000年夏は、軽井沢で開催された「レット症候群国際会議」の会長を瀬川昌也先生が務められた年でした。世界各国の研究者が一同に集まり、私自身もレット症候群の勉強を一挙にさせて頂いた記憶があります。
瀬川先生の臨床観察は大変細かく、特に、乳児期から頭囲の発達停滞があること、乳児期の筋緊張低下、這い這いが出来ない、手と口の常同運動が始まる、事などは、世界の研究者が追従しました。瀬川先生は、レット症候群にも乳児期早期のモノアミン神経系の異常を指摘、少量L-ドパ療法を開始する等、次々に新しいデータ提示し、瀬川小児神経学クリニックに並ぶ施設はなかった印象を持ちました。
現在は、レット症候群のデータベースの作成、日本の各施設を中心に研究が進み、共同研究が始まっています。当クリニックも臨床研究の拠点としてその研究に加えさせて頂いております。
現在は、グレリン等、新薬の開発も提案されており、レット症候群の未来に光を照らしています。
さて、レット症候群は、睡眠覚醒リズムの異常を呈することがあります。瀬川クリニックでは終夜ポリグラフの研究や睡眠覚醒解析機を使った研究から、覚醒レベルの低下や中途覚醒(夜中に起きてしまう)がわかっています。基本は、睡眠表を参考にしながら、年齢に応じた適切な昼間の覚醒時間を維持するように刺激をすることを指導します。夜間の覚醒は、レム睡眠に関連するびくっとする身体の動きによると推測しており、少量L-ドパ療法やメラトニンで改善する経験があります。
また、合併症として起こりうるてんかん発作に対して早急に対処する必要もあります。脳波検査を数か月~半年に一度行いながら、てんかんの治療を行います。
最近は、従来の睡眠覚醒リズムの指導や薬物治療に加えて、手の常同運動を短時間でも抑制できる簡単な装具を使うことにより合目的的運動を増やす工夫を取り入れています。また、ABA(行動療法)の指導も併用しています。
乳幼児期の適切な指導、昼間の刺激、薬物療法、リハビリテーションによって治療的効果があがると考えています。
- 初発症状
- 運動発達の遅れ、頭囲の発達の停滞、筋緊張低下、幼児期後期からの手の常同運動の発現、手の合目的的運動の喪失
- 当院で行う検査
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- 脳波+睡眠ポリグラフ
- SEP検査
- 表面筋電図
- 発達検査
- 当院で行う治療
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- 薬物療法(少量L‐ドパ用法、メラトニン、抗てんかん薬等)
- 睡眠覚醒リズム表による生活リズムの管理
- 行動療法等、リハビリテーション