小児期発達障害、神経疾患の専門病院 瀬川記念小児神経学クリニック

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睡眠障害

睡眠障害

皆さんは「早寝早起き朝ごはん」という言葉をご存知と思います。これは、2005年から文部科学省が推奨しているキャッチフレーズです。さて、瀬川昌也先生が、睡眠研究を始められたのは1970年代初頭でした。まだ日本がここまで夜型化がすすんでいなかった時代から、瀬川先生はクリニックの患者様に、睡眠覚醒リズムの重要性を訴えておりました。「早寝早起き朝ごはん」の原点はここにあり、日本の子ども達の睡眠啓発運動の発祥の地と申しても過言ではありません。私達は、どんな疾患であっても乳児期からの睡眠覚醒リズムの発達を聴取し、治療と評価を兼ねて、睡眠表の記載をお願いしています。

睡眠リズムは年齢とともに発達するため、睡眠障害も年齢ごとに異なります。

乳児期

赤ちゃんは、お母さんの胎内では太陽の光が届きませんが、ひとたび地球に誕生してからは、昼行性として太陽の光とともに成長することを身につけなければなりません。図は、正常な赤ちゃんの睡眠リズムの発達を示しています。寝る時間を黒く塗っており、2日間が続けて記録されております。大体、生後3-4か月で、昼夜の区別がつき昼間起きる時間が長くなります。昼寝もリズムが整い、午前午後のお昼寝が午後になるのは、1歳前後です。

そもそも人間は昼行性の動物として、時計の遺伝子のしくみが組み込まれていますが、赤ちゃんは、昼間起きる動物として成長することで、自律神経、脳や体の神経の正常な発育が促されます。つまり、脳と心と身体が著しく成長している間だからこそ、早寝早起き、昼間起きていることが重要になります。

よく何時に寝かせればよいのですか?と質問されます。基本は「おひさまとともに」ですが、今の日本ではなかなか難しいのが現状です。しかし、私達は、「20-21時には寝かせ、朝6-7時には起こして下さい」と伝えます。昼寝は午前中外でしっかり遊んで昼食後にすぐに寝かせるようにしてください。15時までには起こさないと夜寝る時間に影響が出てしまいます。

夜泣きは、メカニズムはわかっておりませんが、赤ちゃんの成長の過程で起こる現象と考えており、REM睡眠(レム睡眠)に関すると推測しておいます。1歳半近くで夜中に授乳をしておりますと、結局夜泣きの原因になる可能性があります。添い寝は、アジア圏の文化ですが、夜間、頻回に添い乳をいておりますと、夜泣きがなかなかなくならないので、注意してください。夜泣きの対策の最も有効な手段は、「かまわない」ことなのですが、なかなか難しいのが現状です。お父さんやご家族の協力を得ながら、無理ない範囲ですすめていきましょう。とにかく、昼間の刺激と運動を増やすことに努力してください。

幼児期

保育園や幼稚園に行き始めますと、昼間の刺激が多くなるので、早く寝られるようになります、御両親が仕事をしている時には、帰宅時間が遅くなり、夕食やお風呂が遅くなりがちです。 

さて、夜型の幼児では、発達障害や情緒障害の報告が多くされています。1歳で夜型ですと、喃語が少ない、指差しが少ない、等の発達の問題、3歳以降では情緒の障害、5歳児で三角形が描けない、等です。

夜21時には寝かすように、朝6-7時には起こして下さい。昼寝が夜の就寝の妨げになっている場合、特に5-6歳では昼寝をしなくなりますので、保育園の先生とよく相談をしてください。

この時期から、ゲームやメディアのコントロールは重要です。時間を決めて、夕食後はなるべくさせないようにしてください。

小学生

学校で「早寝早起き朝ごはん」の啓発がされていると思いますが、最近、「早寝」は「22時や23時と思う」という子ども達が出てきました。しかし、一方で、73%以上の小学生が「本当は早く寝たい」と感じていることもわかってきました。つまり、子ども達は、本当は早く寝たいが、早寝が何時かわからなくなっている、ということではないでしょうか。

1日は大人も子どもも24時間と決まっています。塾や宿題、習い事やテレビ、ゲーム等、日本の子ども達はとても忙しいです。しかし、世界中で、日本の子どもだけが「寝ないで問題のない子」に進化することはありません。早く寝るためには、「今日やることやらない事、今日出来る事出来ないこと」を選択する力が必要です。自分で選べる力を育てていきたいです。

文科省でも、地域のデータでも、21時半頃までに寝ている子、朝ごはん食べている子どもの方が、成績が良いです。保護者だけでなく地域社会で、早く寝るように考えられると良いと思います。

中学生
世界の中学生のなかで、最も睡眠時間が短い国の一つが日本です。中学生は、反抗期もあり、早く寝るのを拒否する世代です。しかし、二次性徴もあり、心身不安定な状態で、追い打ちをかけるように、睡眠不足が続けば、心身ともにさらに不安定になり、不登校やうつ状態の原因にもなりかねません。また、スマホや携帯など、メディアの媒体が増え使い方も広がります。SNSでのいじめ等も横行するので、夜のラインを断れない、ということがあるかも知れません。そして、起立性調節障害も多い年代です。
外来には、夜眠れない、朝起きられない、子ども達が多く来院します。原因は様々ですが、メディアから抜け出せないと訴え、保護者は子ども達を叱り続けてしまう状態になっています。ここで最も重要なのは、親子関係、家庭の関係が改善すると、自然に子ども達は、メディアから離れること傾向がみられることです。 中学生はなかなか難しい年齢です。まずは暖かい親子関係、家庭の環境を作ってください。そして、家族でゲームや携帯のルールを決めて下さい。
また起立性調節障害の合併も少なくありません。立ちくらみや、お風呂でののぼせ、朝顔色が悪い等の症状がある場合は、小児科に相談をしてください。メトリジンや漢方などの薬物療法もあります。水分をしっかりとって、昼間なるべく起きているようにしてください。
私は、中学生向けの講演会では、「自分の体は自分でしか守れない、早く寝ることはかっこ悪くない、自分の体のために早く寝て」と伝えています。もし、どうしても眠れない、リズムが取れない時には、ぜひ、早めに相談をしてください。

※睡眠障害で受診の方は、初診時のご案内にある睡眠表をダウンロードして、初診まで記入をして、持ってきて下さい。