小児期発達障害、神経疾患の専門病院 瀬川記念小児神経学クリニック

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瀬川病(ジストニア・不随意運動)

瀬川病(ジストニア・不随意運動)

瀬川先生は東京大学医学部卒業後、すぐに小児神経外来を始めました。ある時「夕方になると歩けなくなる」という子どもさんが来院、診察をしますと午前中よりも午後に足の筋緊張の亢進が強くなる症状を呈していました。その症状は、睡眠により改善すること、「うちの子は寝相が良い」というお母様の話を参考に、全身に筋電図を装着した終夜ポリグラフ検査を行い、体動やレム睡眠の発現に異常があることを発見しました。L-ドパ(ドパミンを増やす薬)を投与すると綺麗にその症状が改善することから、ドパミン神経が低下する大脳基底核の病気ではあるが、当時、研究が進んでいた成人のパーキンソン病とは明らかに違う新しい子どもの神経の病気、と考え、1971年に「L-dopaが著効を呈した小児脳基底核疾患 ―著明な日内変動を呈する遺伝性進行性脳基底核疾患―」として論文を書かれました。これが「瀬川病」の第一例目です。その当時の学会で発表し、世界に認められました。

その後の研究にて、ドパミンの代謝と関連する、髄液中のバイオプテリン、ネオプテリンが異常であること、さらに、白血球中のモノアミンの酵素の一つであるGTPシクロハイドラーゼⅠの活性が低いことがわかりました。1994年に一緒に研究をされていらした一瀬宏教授(現東工大、当時 藤田衛生保健大学)が、GCHⅠの遺伝子異常が発見し、Nature Geneticに掲載されました。

現在は、患者さんの数は増え、大脳基底核のドパミンを調べる核医学検査(DaTSCAN)等の研究も進んでいます。ただ、まだ解明されていないことも多く、当クリニックにておいても、臨床研究を進めています。

瀬川病は、別名「著明な日内変動を呈する遺伝性進行性ジストニア(Hereditary progressive dystonia with marked diurnal fluctuation=HPD)」または、「dopa responsive dystonia 5 =DRD5」とされております。瀬川先生は、「病名に人の名前がついても病気がわからないので良くない」と憚られていた、と伺っていますが、今は瀬川病(Segawa Disease)が最も広まっている診断名となっています。

さて、瀬川病の症状は、足が内側に入って上手く歩けない、手足が緊張して思うように動かすことが出来ない、姿勢が曲がってしまう、姿勢を保てない、手が震える、首が震える、止めようとしても手足が動いてしまう等があります。 発症年齢は、典型的な方は、幼児期に発症することが多く、学童には症状は強くなり、日内変動を(朝調子は良いが夕方に悪くなる)を呈することが特徴です。瀬川病の場合、L-ドパの投与で多くの例は改善します。思春期以降、効果が減弱し、L-ドパ・カルビドパ合剤に薬の変更をすることもあります。

一方で、action typeと言われる、発症が10歳以降で、手の震えやL-ドパ誘発性ジスキネジアを呈する方もいらっしゃいます。
現在、治療についての研究を進めているところです。最近、瀬川病の方でも、気持ちの問題を呈する方もいらっしゃいます。
昔は、診断がつかず、脳性麻痺と言われ整形外科でアキレス腱の手術を受けた方もいらっしゃいました。今は、診断も治療も確立されておりますので、なるべく早く専門医に受診をしてください。

また、瀬川病の症状である、ジストニア、は不随意運動というカテゴリに入ります。ジストニアというのは、筋肉の緊張が強く上手く動かすことが出来ない状態です。瀬川病は、主としてこのジストニアを呈しますが、他にも手が震える、身体がこわばる、勝手に動いてしまう、等の症状を呈することがあります。このような症状も、不随意運動という症状が考えられ、瀬川病以外にも、他に原因が多くありますので、なるべく早く専門の医師に相談をしてください。

初発症状
歩き方がおかしい、足が内側に入る、手がこわばる、力が入る、手が震える、身体が震えてしまう
当院で行う検査
  • 脳波+睡眠ポリグラフ
  • 衝動性眼球運動検査
  • Gating SEP
  • 表面筋電図
  • ジストニアに関連する遺伝子検査(血液検査)
当院で行う治療
L-ドパ、または、L-ドパ製剤、抗コリン剤、筋弛緩剤等のその他の薬物療法